船――海上を進む摩訶不思議なハコ。そこでは、どこでもステージに速変わりするし、誰でもそのステージで主人公になれるんだ、ただしそのためにはまず、意志の力や他人からの挑発で決起するにせよ、アクシデントでそうなるにせよ、日常生活のくびきから解き放たれなければならない。
《「……私ね、このままじゃ船を降りられないかなって思ったの」
「なんで」
「平野さんを見て、私もちょっと変わりたいと思ったのかな。平野さんが恋をしたように、私もしたいって思ったの。なぜなのか私にも分からない。それで今は平野さんのそばにいる。迷惑かしら」
いつの間にか強い海風が吹き、空は真っ黒になっていた。
雨が降ってきそうだ。
(中略)
その深夜、雨が上がりしっとりと湿った海風の吹く夜になった。》(本文より)
北極圏を制覇するというテーマを胸に抱いて船に乗りこんだ70歳過ぎの“私”であったが、期せずして恋というアクシデントにハマりこみ、船は“私”の恋愛舞台と化するのであった。一方、その恋の嵐のさなかをも船は航海しつづけ、港々を巡ってゆく……。
一度限りの人生だからせいぜい楽しまなきゃ、ってことはみんな分かってる、でも日常生活に埋没し、だんだんと客席で他人の人生を眺めることで満足するようになってくる、でもそれじゃダメなんだ、実戦的に舞台の上で自分の身体で目で耳で鼻で舌で手で皮膚で骨で肉でそして心で直に、登場してくる人々や世界や事件やシチュエーションに本気でぶつかっていかないといけない、そうじゃないと本当に人生を堪能したことにはならないし、人生のいい役者にはなれない、船上であれ陸上であれ死ぬまで人生というステージを降りてはいけない、降りられないんだ、ということを、この生々しくもいじらしいドキュメント小説(かつ対話小説でもある、他者との対話、そして、自己との対話)『セルロイドの海』は教えてくれるのかもしれない。世のオジサン、オバサン(いくら年齢が若くても、現状維持に汲々として老けきった顔をしている輩は、オジサン、オバサンだ!)よ、今こそ決起せよ?!
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セルロイドの海 単行本 – 2020/6/25
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購入オプションとあわせ買い
ライブハウスを経営しつつも仕事はほぼリタイア状態にある〈私〉は、悠々自適な生活を送っている。70歳を過ぎ、自身が生きる上でテーマの一つである〈旅〉の集大成として、三度目となるピースボートの渡航でまだ見ぬ北極圏を目指す。 ピースボート〈オーシャンドリーム号〉には1,000人余りの乗客がいたが、その7割が60歳以上の老人という〈動く養老院〉だった。 船内の様々なレクチャーに興じるなか、〈私〉は習字サークルで敬虔なクリスチャンである〈晴美〉と出会う。度重なる夫の浮気に辟易し、夫から逃げるようにピースボートへ乗り込んだ60歳過ぎの清楚な女性だ。 幾度かの〈晴美〉との逢瀬に、何十年ぶりかの恋の悦楽を思い出した〈私〉は我を忘れて老いらくの恋に身を投じる。一時は互いに惹かれ合うものの、「この恋は神が許さない」という〈晴美〉の頑なな信条により、二人の距離は次第に離れていく。 〈晴美〉と入れ替わるように〈私〉の前に現れた〈麗子〉は、生涯独身を貫く63歳。〈私〉とは趣味嗜好もライフスタイルも正反対だが、その天真爛漫な性格に少しずつ惹かれていく。 愛人とセックス三昧のエロ親父、自殺願望を抱く偏屈な老人、亡き妻の写真を携帯する元造船業の男性、昼間からウイスキーを煽る88歳の老人、夫の形見の金時計に話しかける老婆、長年の不倫生活を清算した折り紙の先生、会社の株の配当で悠々自適な大企業の元役員、夫のDVが原因で離婚した女性、孤独とオカリナを愛する元薬剤師、世界の豪華客船のほとんどに乗ったと豪語する貴婦人、人間嫌いの元数学教師、船上で人生を終えた老人……船内で知り合う数々の老輩との交流を通じ、〈私〉は人生の終活期をどう過ごすべきかを考える。そして、〈晴美〉と〈麗子〉に出会ったことで、70歳を過ぎても恋はできる、それは何物にも代え難く尊いものだと実感する。 全106日、23カ国を跨ぐ全長5万4,343キロの旅のなかで、古希を過ぎても好奇心旺盛な〈私〉が再び恋に目覚め、晩秋に差し掛かった自身の人生航路を改めて見つめ直す。恋と海と風をテーマにした、ピュアでイノセントな〈航海文学〉、ここに誕生。
- 本の長さ333ページ
- 言語日本語
- 出版社世界書院
- 発売日2020/6/25
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104792795834
- ISBN-13978-4792795832
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商品の説明
出版社からのコメント
伝説のライブハウス「ロフト」の創始者が、初めて挑んだ恋愛小説。実体験を元に古希の愛を綴るエンターテイメント小説。
著者について
1944年8月10日、東京に生まれる。ライブハウス「ロフト」創立者、またの名を「ロフト席亭」。 1971年、ジャズ喫茶「烏山ロフト」をオープン以降、東京になくなってしまったロック・フォーク系のライブハウスを開業。1973年「西荻窪ロフト」、1974年「荻窪ロフト」、1975年「下北沢ロフト」、1976年「新宿ロフト」、1980年「自由が丘ロフト」を次々とオープンさせた後、1982年に無期限の海外放浪に出る。 5年にわたる海外でのバックパッカー生活(100カ国制覇)を経て、カリブ海の島・ドミニカ共和国にて市民権を獲得。1987年に日本レストランと貿易会社をドミニカに設立。1990年、大阪花博のドミニカ政府代表代理、ドミニカ館館長に就任。1991年にドミニカ完全撤退、1992年に帰国。 1991年、「下北沢シェルター」をオープン。1995年、世界初のトークライブハウス「ロフトプラスワン」をオープンし、トークライブの文化を日本に定着させる。2004年に「ネイキッドロフト」、2007年に「阿佐ヶ谷ロフトA」、2014年に「ロフトプラスワンウエスト」、2018年に「ロックカフェロフト」と、近年はトークライブハウスを次々とオープンさせている。 著作に『旅人の唄を聞いてくれ! 〜ライブハウス親父の世界84カ国放浪記〜』(1999年、ロフトブックス刊)、『ニッポン放浪宿ガイド200〜人生を変える旅、運命を変える宿〜』(2005年、山と渓谷社刊)、『TALK is LOFT〜新宿ロフトプラスワン事件簿〜』(2017年、ロフトブックス刊)、『定本 ライブハウス「ロフト」青春記』(2020年、ロフトブックス刊)がある。
登録情報
- 出版社 : 世界書院 (2020/6/25)
- 発売日 : 2020/6/25
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 333ページ
- ISBN-10 : 4792795834
- ISBN-13 : 978-4792795832
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 696,737位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 16,345位日本文学
- カスタマーレビュー:
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